演劇受難の時代。ウチのスタジオの戦略は・・・

有名どころの劇場がいくつか閉館になった(なる)と新聞のコラムに載っていました(2024、5、7毎日新聞余禄)。演劇受難の時代ですね。

ウチのスタジオは、そんな有名どころと違って、歴史もなければキャパもありません。20名も入ればいっぱいの、照明設備も貧弱な、雨漏りすらする、本当にささやかな空間です。しかし、わたしにとっては思い入れのある大切な場所です。そう簡単に閉めるわけにはいきません。

それにしても、劇場を維持してゆくというのは大変なことなんですよ、とくにウチのようなちっちゃなスタジオは。芝居を打ち続けるのは、①公演数を増やす、②客単価を上げる、③役者、スタッフに払う金をケチる、の3択しか方法を思いつきません。客が鈴なりになってやってくるなら①②は有効なのですが、冒頭に書いたような東京の大手劇場さんでもでもなかなか客足は伸びていないようで、ましてウチのような田舎にある新参者のスタジオはなかなか集客という面では苦しい。ならば残るは③しかない。しかし、支払いをケチるっていうのもなあ・・・。限界があるよなあ。

スタジオがあるといいんです。好きに芝居が作れる。ぼろ儲けしようと欲張らなければ、作りたい芝居が作りたいように作れる。稽古だって、その気になれば24時間、いつだって、どれだけだってできる。公民館を借りて稽古していた頃から思えば、夢のような環境です。

まずはスタジオというものを建てるのに精いっぱいで、なんとか建てた高揚感も手伝って、でも自分がなにがやりたいのかよくわからず、遮二無二芝居を毎月打っていた1年目。

自分で芝居を毎月作っていたんじゃあ、とても体力がもたないと悟り、貸館や貸しスタジオ、果ては各種講座を模索し始めた2年目。

そして3年目の今は、建てた当初の興奮状態も脱し、ギリギリ維持するだけの営業品目も固まって、そうして、どうひっくり返っても、見栄すら張れないような、狭いせまい田舎のスタジオなんだから、大儲けしようなんて山っ気を出すのはハナから諦めて、どうせならさんざんっぱら、実験的な芝居を打って、そんな芝居も面白いじゃん、って思っていただけるご贔屓さんを少しずつ増やそうという気になっています。

実験的な芝居とは何でしょうか。わたしが考える定義は至極簡単です。ア、演劇体験ができる芝居、イ、そのときにその場所でしか見られないような芝居、の2つの要件を満たすような芝居です。そういう芝居なら、わたし自身も観たい。わたし、芝居見るのあんまり好きじゃないんです。そんなわたしが観たくなるような芝居なら、ア、イの要件を満たす芝居に違いありませんし、遠路はるばるお越しいただいて、お金を頂戴するに値する芝居であると確信しています

さてさて、今週末は5月公演『悲劇VS喜劇』を上演します。今回の公演のコンセプトはずばり、ア、演劇体験ができる芝居です。

ウチの芝居の、ウチのスタジオのご贔屓さんが一人でも二人でも増えるならば、大成功だと思って、土日は頑張ります。どうぞCAワークス一宮スタジオにお運びくださいませ。わたしも会場整理や前説を務めさせていただきます。

あ、そうそう。秋の公演も演目と概要が決まりました。その予告も5月公演でさせてもらいます。乞うご期待!