高校演劇応援企画第3弾で、刈谷東高校演劇部が上演した。

土曜日、一宮スタジオで刈谷東高校演劇部は「便所くん~卒業~」を2回公演した。NPO法人CAワークスの〝高校演劇応援企画〟に乗っかったのだ。お客は各公演

わずか3名ずつ。それでもオレはやってよかったと思っている。部員はどう思ったかはわからないが。

名古屋市内の普通の劇場を一日借りたらだいたい20万くらいかかる。一宮スタジオのこの企画の枠なら会場の借り賃はタダだ。20万がタダ!そんなことってあるか?あるんだな、それが。なんせCAワークスはNPOだからね。儲けよりも社会的な意義を考えてるんだ。自画自賛するが、エラいもんだ。だからお客がどれだけ少なくってもビビらないで済むってわけだ。オレが普通に芝居創って公演を打つってなりゃあ、お客3人なんて発狂してるところだ。

タダで、照明の釣り込みから始まって、公演を打って撤去して掃除して小屋主にお返しするまでのプロセスを経験できる。それはものすごく尊い経験だ。普通の高校演劇の大会は、「共通仕込み」といって、はじめから照明が一式吊ってあって、「ありものを使って照らしてください」って言われる。小屋入り、搬入から上演して撤去までの流れだって、時間枠が決められていて、担当の顧問の先生がタイムキープしながら一式組んでくれている。要は、普通の高校演劇部員たちは、公演に関わるすべてがお膳立てされたところで上演させてもらって、それが演劇だと思ってしまっているんだ。違う違う。そんなもん演劇公演の一部に過ぎない。自分たちでチラシを作って、恥かきながらお客を集めて、自分たちでタイムスケジュールを決めて、自分たちで照明吊って・・・。芝居を打つってのは、それらすべての作業を自分たちでやることだ。演劇は手間暇かかる。でも、手間暇掛けてやってこそ得られる物がある。しかし、手間暇かかる分だけ、何をどうやろうが自由すぎるくらい自由なんだ、本来の演劇ってのは。CAワークスの〝高校演劇応援企画〟は、ノーリスクで演劇が本来持つ〝自由さ〟を経験できる。これを読んでいる高校演劇関係者諸君、奮ってこの企画を活用して演劇本来の自由さを体感してほしい。

肝心の刈谷東高校演劇部の芝居の出来はというと・・・ちっともよくなかった。上演直前で演出を付け直させてもらったくらいだ。いいものを創りたい。1人でも多くのお客に見てもらいたい。見て心を鷲づかみにされる経験をしてもらいたい。オレはそのためなら労を惜しまない。オレと想いを同じゅうする部員がどれだけいるか、心許なく感じた。ま、オレも悪いんだけどね。顧問なのにちっとも練習(稽古、の域に達していないからこう表現する)を見に行けてないんだから。

高校演劇に大手を振って携われるのもあとわずかだ。自分が良いと思えるような部活の指導をせんといかん。今回の上演までの部員の動き、モチベーションと、上演内容を見て、改めて思ったよ。