世間は大晦日

今日は12月31日。世間は大晦日だ。オレは家に籠って仕事をしつづけている。用事があって今日は久しぶりに外出した。えらい人出だった。みんな殺気立ってお節料理やら、正月に食べるもんやら買ってた。車の運転も、普段乗り慣れてない人が乗るのか、結構荒い感じで、怖かった。

オレは盆も暮れも正月も否定している。親の忌日だって忘れてるんだから、そんなもん世間に合わせていられるわけがない。オレの盆、オレの暮れ、オレの正月があるだけだ。オレの正月は・・・そうだなあ、一本芝居が終わって、お客がたくさん見に来てくれて、みんな喜んで帰ってくのを見届けて、やれやれやっと終わった。もう逆さに振っても何も出て来んぞ、ってヘロヘロになってる自分を自覚して、バラシが済んで、掃除が済んで、集まったスタッフに、ありがとな、またな、ってバイバイして、一人になって車に乗り込んで、ボムッと車のドアを閉めた時に、ホッとした感じと寂しい感じが急に押し寄せてきて・・・その後の数日がオレの正月かな。数日間は虚脱感っていうのか、何もやる気にならないし、何も考えられない。白痴状態になっている。公演の緊張が急にほどけたからか、からだのあちこちも痛くて、ヨタヨタしか動けない。そんな状態が続く。そのうちにエネルギーがチャージされるのか、次はこういうことやりたいな、ってぼんやりしたビジョンがやってくる。するとムクムクっと、アタマもからだも、ゆっくりとだが動き始める・・・。だからオレは芝居やワークショップを基準にして、エネルギーの放出と充電の繰り返しの中で生きてるんだ。世間の流れとか、学校の休みとか、働き方改革でここ休んでくださいねとか、そんなものを基準にオレは生きてない。なんか創るヤツって、みんなそんな感じじゃないのか?

とはいえ、

せっかくだから、今年を振り返ってみようかな。一つだけ挙げるとすれば、11月にやった一人芝居と謎解きのコラボ公演「月の光」だ。主演の清水万鳳さんがすごかった。オレ、随分前から清水と芝居作ってきたけど、なんていうかな・・・清水は、人が呼べる役””になったね。そんな確信を持った公演だった。上手い役者になるのも難しい、いい役者になるのはもっと難しい。人が呼べる役者となると、一定の実績と年月と、別の魅力が必要になるから、更に難しい。清水はこの域に達したよ。すげえなあ、と思う。良かったな清水、ってホントに思う。お前がんばったもんな。がんばった甲斐があったなって。実際「月の光」は4公演全席満席だった。いい目、みさせてもらったよ。

来年も2つ、清水主演の公演を予定している。CAワークスも10周年を迎えた。新しい事業も展開して、NPO設立の本義を実現してゆく。世間様と同じように休んでいるわけにはいかない。