『帰郷』チケット動き始めた/祝!一宮スタジオ開設3周年/K村さんのこと。

CAワークスの秋公演『帰郷』のチケットが動き始めた。

バックストーリー①~⑤を予め読んでこなきゃいけない、駅の改札に集合して、主人公といっしょに街をの中を、スタジオの入っているビルの中を歩いてもらう・・・。なんてわがまま放題な芝居なんだ!しかも4000円、なかなかいい値段ときてる。なのに、ちゃあんと来てくれるお客さんがいる。本当にありがたくって、涙が出る。

このブログを読んでくれている皆さんで、まだお買い求めでない方は、ちょっと急いで買った方がいいかも。いや、脅すわけじゃないんだけどさ。なんせ各回定員10名なんでね、行こうと思ってた回が売り切れてて見損ねちゃった、なんてことになるといけないから。

予約・チケット販売は、CAワークスHP→NEWS【!新作!秋の演劇公演のご案内】⇝「ご予約、詳細はこちら」から。

今度の芝居はいいよ。テーマパークに行った感じで楽しんでもらえると思う。

一宮スタジオは9月5日で開設3周年を迎えた。たいへんめでたい。

作ると決めた時は、潰れるなんてこれっぽっちも思ってなかったが、かといって、どうやって維持していこうという確たるビジョンなんか、一つも持っていなかった。3階のスタジオも、地下1階のワークショップスペースも、業者を入れずに全部自力で作った。照明とか設備とかまったくわからなかったから、知り合いに教えてもらいながら作った。倉庫みたいな場所が、手を動かした分だけ、汗をかいた分だけ、スタジオに、ワークショップスペースに変わっていった。たゆまず、コツコツ続けていれば、結構スゲエことができる。50も後半になって、オレは初めて実感した。

スタジオを作っている最中に母親が死んだ。出来上がりを見せたかった今でも思う。

3年間、試行錯誤しながらやってきた。1年目ひでえ赤字。2年目ちょっと赤字。そして3年目は何とか家賃は払えてます、って感じか。

取りあえず潰れずにやってこれたのは、NPOの事務局長・K村のおかげだ。彼が労を厭わず、住まいのある三河から一宮に足を運んでくれるから、スタジオは維持できているのだとオレは思っている。

スタジオの入っているビルには、手作りの手芸品や洋服を売る店が入っているのだが、K村は、そこのおばちゃんたちにも大人気だ。「K村さん、来てる?」と日に何度も訊かれる。来てるよとオレが答えると、「これ、K村さんにあげて」とお菓子をくれたりする。

K村とは、もう随分と長い付き合いになるが、もともとは結構ガードが固い人間だった。そんな彼が今では、おばちゃんたちのアイドルになっている。いつもいると人は信用してくれる。〝ここの人〟だと認知してもらえる。だから、〝いること〟そのものが最重要事項なのだ。K村とBOXショップのおばちゃんたちの関係を見て、オレはこれまた初めて実感した、50後半にもなって、やっとね。

新しいことを始めると何かと発見や気づきが多い。教員だけやってたんじゃあ、絶対にわからなかったことにスタジオをやってたくさん気づけた。そうなのだ。オレみたいに、たまに来て芝居打ったり、ワークショップしたりするだけの人間には、人は本当には親しみを感じないのだろう。人間はさ、同伴者ーいつもそばにいてくれる相手ーが欲しいんだよな、やっぱり。K村さん、あんたすげえな。これだけの関係をおばちゃんたちと築くのに、一体どれだけ一宮に通いつめたんだ?

今日もK村は、公演準備のために一宮入りしているだろう。1日スタジオに籠って、手を動かし続けているだろう。BOXショップのおばちゃんたちは、そんなK村を見て、またまた彼のファンになってゆくのだろう。

こないだ稽古が始まる前だったか。K村とオレ、たまたま2人だけの時に、『(スタジオ、)よう3年もやってこれたなあ』オレが何の気なしに言ったら、『まだ、始まったばかりだけどね』甲村がボソッと答えたことがあった。

K村さん、あんたは何の気なしに言ったかもしれないけど、オレはあの時、随分と嬉しかったよ。そうだよな、3年経ったくらいでなんかやったような気になって満足してちゃあいけないんだよな、まだこれからどんどんやってくんだよな、ってね。オレらくらいのトシになるとさ、こういう未来に開いた言葉を聞くと、ホント、勇気づけられるんじゃない?

あ、思い出した!みなさん、今度の芝居、K村はK村役で役者として出演します!良かったら是非、彼の芝居を観てやってください。