「いきいきストレッチ講座」スタート(予告)

40代のころか。学校の体育大会で教員のリレーで走った。早く走ろうと気持ちは逸る。イメージする走り方もちゃんとある。でもね、あらら、足がついていかないんだ。イメージどおり上がらない。前へ出ない。結果、つんのめってよろけてしまった。今でも覚えているのは、よっぽどショックだったからだろう。運動不足だとその時は思おうとしたが、素直に認めれば、あれが老いの1発目だった。

50過ぎ。卒業式で表彰する生徒の名前を読み上げようと手にした原稿に目を落とした。ぼやけて見えない。あれ?変だな?近視が進んだのかと思って原稿を近づけて見たら余計に見えない。やばい。名前読み間違えたら大変だ。試しに目から原稿を離してみた。はっきり見えた。なんとか名前を間違えずに読み上げられた。席に座ったら冷や汗をびっしょりかいていた。老眼の始まりだった。遠近両用メガネをすぐに作りに走った。自分でもいやになるほどよく見えた。以来、ずっと遠近だ。これが老いの2発目だ。

アラ還になったこのごろでは、疲れがひどい。家に帰りつくと起きていられない。夢もみない。眠れないと悩んだ時期があったが、今から思うと夢のような話だ。これが老いの3発目か。

いや、ちょっと前からからだが硬くなった。同じ姿勢を長く続けていると、別の姿勢を取る前に、うん?固まってるぞ、とワンクッションある。晩年の母親は、ちょっとずつちょっとずつ体が動かなくなっていって、最後はからだが固まって、動かなくなって死んだ。母親を看取った経験から、死とはからだが硬くなることだ、とオレは実感している。やばいぞ、からだが硬くなるのは。これが老いの4発目か。

あらゆるものは変化する。人間も変化する。人間関係も変化する。刻々変化する。変化に良いも悪いもない。そんなことはわかっているつもりなのだが、老いに抗いたくなる。煩悩だ。わかっているが、抗ってみたい気分になった、すごく。

演劇トレーニングジムのあとで、月2回、「いきいきストレッチ講座」というのをはじめる。目的はただ一つ。からだが硬くなるのに抗うことだ。みんなでやれば月2回くらいなら続けられるんじゃないか。やらないよりはるかにマシだ。誰でも参加できるが、メインターゲットはオレのような年寄りだ。もちろんオレも参加する。時間は30分。参加費用は1回500円。主催者だがオレも参加者だから、当然500円払う。どう?参加する気になった?4月27日(土)からスタートする。11時30分から12時の時間帯。参加しやすい時間帯だと思う。いっしょにやろうよ。

『老人と海』でヘミングウェイが書いている。「人間は運命に負ける。でも負け方がその人間の価値だ」手元に本がないので正確な引用ではないが、若い頃に読んで以来、ずっと心の支えになってきた言葉だ。「いきいきストレッチ講座」、いいじゃないか。いっしょに老いに抗おうよ。