1週間、よく働いた

11月1日(土)午前一宮スタジオでEQスクール。一人生徒さんが受講を辞めた。思ったのと違ったみたい。ネガティブな気持ちになる話題を扱うことがあるからと伝え聞く。うん、たしかにそういう話題も扱う。でも、それが悪いことか?受講生たちに振り子理論の話をする。エネルギーは無法だ。善も悪もない。あるのは量だけだ。たくさん憎めるヤツはたくさん愛せる。問題は持っているはずのエネルギーを世間が、社会が、そして自分自身ががスポイルしていることだ。自らが蔵しているエネルギーを自覚すること。そしてそれをレッスンという限定された安全な場で解放すること。良い役者は、魅力的な人間はエネルギー量がたぷたぷしている。

11月2日(日)役者がリタイア。出る役者がいなくなった。スタッフミーティングを緊急招集。みんな口を揃えて上演を諦めたらという。オレは死んでもイヤだと言った。なんでリタイアする役者に左右されんといかんのだ。心中しても良いヤツとヤなヤツがいる。体調不良でリタイアした役者と心中するのは、オレのプライドが許さない。予定していた役者がやるよりも良い舞台を創りゃあいいんだろ?我知らず啖呵を切っていた。オレたちは試行錯誤を始めた。演劇の神様、オレを助けてくれ・・・。1時には絶望していたが、稽古が終わる5時には公演の目処がたっていた。ヤベえヤベえってマジ焦ったけど、こうやって追い詰められて考えてるときが実は一番面白えんだ。芝居作ってるって感じ、生きてるって感じがする瞬間なんだ。

11月9日(日)PM一宮で稽古。5時までかかって一通り作り上がった。原作者にきくと「(原作の)イメージに近い芝居になった」と言ってくれた。演出する人間としてはホッとした気分だ。あとは細部や微妙な音響照明のタイミングを15日半日で直して本番だ。とても実験的な舞台になる。なら・・・ということで、「アトリエ公演」という公演形態にすることを思いつく。

11月12日(水)岡山方谷学舎高校でリベ国の授業。1限から6限まで。全学年で2時間ずつ授業をする。授業をやってて気持ちの良い生徒たちだった。今年度に入ってからでもたくさん県外の学校で授業をやったが、なんなら一番気持ちがいい生徒たちだったんじゃないか。生徒の感想も素晴らしかった。校長や教頭は喜んでくれた、。あとで聞いた話だが、クラス担任の人たちは、オレの外見や言動によい印象を持たなかったらしい。あのね、方谷学舎の生徒は、服装や言葉遣いは全然ダメだったよ。でも、これまで行った学校の生徒の中で一番良かったとオレは評価してるんだ。それは授業に臨む姿勢であったり、ちょっとした対人関係の振る舞いであったりがとても素晴らしかったからなんだ。人間、外見じゃないんだ。中身なんだよ。オレは生徒の中身で、方谷学舎の生徒はピカイチだって言ってんだ。オレに眉を顰めた先生たちがホントにいたとしたら(あんな素晴らしい生徒たちを育てている先生たちだ。オレは、オレの耳に入った情報が何かの間違いだと今でも思ってるんだ)、見た目の外見やちょろっと見聞きしたオレの言葉や振る舞いでなく、授業の中身でオレを評価してほしいものだ。世の中は偏見に満ちてる。仕方ない。でも、教員はそれじゃいかんだろとオレは思う。偏見を持たずにまっすぐに物事の本質を見抜くチカラをこれからを生きる生徒たちに涵養するのが仕事なんだから。オレは魂込めて毎時間のリベ国の授業をやっている。疑義、意見があるなら直接言いに来てくれ。帰った後で職員室でグチャグチャ言うんじゃなくて。とまれ、方谷学舎の授業自体は大変気持ちの良い時間だった。呼んでくれた理事長に、接待してくれた教頭に、そして何よりも生徒たちに感謝だ。またやらせてもらいに行くよ。

11月15日(土)朝から一宮。終日稽古。細かいところを整えて、作品としてようやく今日、成立した感じだ。いやあ、オレは良い腕してるわ。絶対間に合わせるもんな。

11月16日(日)劇団涅槃門旗揚げ公演にしてCAワークスアトリエ公演「膝下のアンブシュア」、上演。Ⅰ公演目のアフタートークで高校生の観客にキツい物言いをしてしまった。物言いがキツかったことは謝罪したが、話をきいているうちに高校演劇の顧問としてのオレがムクムクと目を覚ましてつい真剣になってしまったせいでつい物言いがくつくなってしまったのだ。公演後高校生本人から電話が入った。キツい物言いの訳が知りたいと言われた。オレは敢えて答えず、旧知の知り合いである高校生のお母さんにその理由を十分に話しておいた。趣味、嗜好は多様で全然良い。でも、何が良い芝居かは個人の趣味、嗜好を超えたものだ。そんなことをオレは教えたかったんだけどね。大きなお世話か。芝居自体は2公演目の方が出来が良かった。生身の人間はオレ一人しかでない。あとは4体のマネキンが置かれているだけだ。そんな芝居。これが芝居かとお客にもそして自分自身にも投げかけながら公演をした。自分を褒めることについてオレは結構な警戒心をいつも持っているが、この芝居は十分に演劇だったという手応えを感じている。2公演目が終わった後、もっとやりたいなとスタッフの甲村が言っていた。甲村はオレの100倍、いろんな芝居を見ている。その彼がおべんちゃらではなくそう言ったんだから、きっと良い芝居だったんだろうな。よかった。これもまた大阪で再演する予定だ。

11月19日(水)リクルート「キャリアガイダンス」という冊子の取材を受ける。5・6時間目の授業を視察、そのあとオレと、3人ほどの生徒にインタビューしてくれた。丁寧なインタビューで感謝している。1月発売号に記事は掲載されるようだ。

今日は11月21日。家でこれを書いている。11月初めから、毎週のように芝居を作ってきた。毎週のようにリベ国の授業を自分の学校でも他の学校でもやってきた。

声がかかるうちが華である。自分のスタイルでもっとやりたいと、オレは熱望している。

あったことをつらつらと書き留めたのは、何かの手段を講じて書き留めておかないと、忘れてしまうからだ。あらゆるものが忘却の彼方へ流れ去ってしまうからだ。