「小さな劇場からの脱出」
この土日、謎解きホリデーというイベントに参加した。
ウチのスタジオで、「小さな劇場からの脱出」という芝居と謎解きのコラボをやった。
オレは、台本を書き、出演した。演出家の役を演じた。
1回の公演が40分。それを1日6回やった。2日で計12回、同じ役を演じた。
いやあ、しんどかった。
単純にカラダがきつかった。1回の公演が終わると汗でTシャツがぐっしょりになった。オレはからだを激しく動かすわけじゃなくて、喋るだけの役回りなのに、それでも汗びっしょりになった。
場を動かしてゆくことが、思っていた以上にシンドかった。はじめましてのお客さんにオレの方から近づいていって、しゃべりだけでその気にさせて、その気を40分間持続させなきゃいけない。そして1回の公演が経ったら、今度は現実の世界にきっちり戻さなきゃいけない。
場を成立させて、お客をその気にさせることは、芝居やワークショップでいつもやってることだから楽勝だと思っていたが、全然違った。その気にさせるのに、芝居やワークショップをやっているときとは比べものにならないほど、膂力が必要だった。
12回の公演の中で、1日目の最後の1回だけ、オレは十分なパフォーマンスができなかった。いや、しなかった。
その1回を思い出すと、これを書いている今でも、胃のあたりがせり上がってくるような感じがする。
その回が終わった直後のスタッフの反省会で、オレのパフォーマンスを指摘されたとき、平気な顔をしてたけど、本当は胃が痙攣して吐きそうだったよ。
やれるのにやらなかった。いかなる理由があっても、その1回の公演だけ、オレは自分のやれることをやらなかった。この点だけがオレを苛む。胃が痙攣するほどの罪悪感を感じる。
やれることは、力の限りやらないと後でものすごく後悔するということ。
お客さんが見終わった後、来て良かったという顔で帰って行くのを観ると、嬉しくなるし、ホッとするということ。
いっしょにやっているスタッフの嬉しそうな顔を見るのが本当に嬉しいこと。
「語りのチカラ」というのは本当にあって、オレの語りは、ひとをその気にさせるチカラがあるかもしれないこと。
学ぶことが多い2日間だった。気づかぬうちにオレは自分のやれる範囲のことしか、やらなくなっていたのかもしれない。やったことないことをやるのは刺激的だ。自分が試される。
いっしょにやってくれた3人のスタッフにお礼が言いたい。
大事なことを教えてくれた。
これに懲りずに、またオレといっしょにやってくれ。