高校演劇応援企画

NPOで高校演劇応援企画というのをやっている。ウチのスタジオをタダで使ってもらって、公演を打ってもらおうという企画だ。タダだぞ、タダ!オレも芝居をやりたくて仕方なくて、でもどこも会場費が高くて、金策に苦労した時代が長かった。劇場を1日借りると5万くらい吹っ飛ぶからね。それを捻出するために自腹切ってみたり、必死で集客してみたり、挙げ句、「ウチの劇団の芝居見に来てよ。オタクの劇団、観に行くからさ」と仲間内でチケットを売り買いしたり、出演者にチケットノルマ(「何枚売ってこいや」)を課したりと、どの劇団も知恵を絞り、人でなしのことに手を染めてゆく。仲間内でチケット売り買いし始めれば、なんというかな、すごく閉じたマニアックな集団になってゆくんじゃないか。あ、そうそう、地元の高校演劇と癒着して審査員やったり、頼みもしてないのに学校にチラシ送りつけたりなんてのもある。なんかね、そこまでして芝居やりたいのかねって思う。でも、そうなんだよ。やりたいんだよ、芝居。なんだろうね、1回ハマるとやりたくなっちゃうんだよ。その気持ちはオレにもわかる。でもね、芝居やるには金がかかる。目の前で見てくれるお客が要る。そのために人でなしになってゆく、多くの劇団が。

オレは20人そこそこしか入らぬがスタジオを持つという幸運に恵まれた。畜生道に身を墜としきらずに、このような罵詈雑言を演劇関係者に浴びせかけられる。それは本当にラッキーだ。何も知らぬ頃、随分と痛い目に遭わされたこともある。が、ここでは書かない。角が立つから。

 自分が味わった苦労は人には味わせたくないってのが人情だ。それにオレは高校演劇からスタートして、高校演劇にいろんなことを教えてもらったって自覚がある。だから何か恩返しがしたくなったんだ。それで、最初に書いた「高校演劇応援企画」ね、それをNPOやろうって決めたんだ。

今日(4月20日)、長久手高校演劇部が会場の下見と打ち合わせに来てくれた。オレとK村で対応したんだけど、まず、礼儀正しくって気持ちよかったね、本当に。

 高校演劇ってパッケージなった大会で上演することばかりなんだ。ちゃんとした会場を顧問の先生が押さえてくれて、地区の10数校が3日間くらいで入れ替わり立ち替わり上演してゆく。仕込み15分。上演60分。撤去5分。使える照明は、共通仕込みといって、そこにすでに釣りこんである照明のみ。流れ作業のようにやらなきゃ3日間で10数校も上演できない。で、講評っていう係の生徒と顧問で上の大会に進む学校を審査して選ぶんだ。オレも外で芝居打つようになるまで、恥ずかしながら「演劇ってそういうもんだ」って思ってた。大人の顧問のオレですら、それしか知らなければそれがすべてだと思っちゃう。そうじゃないよ、芝居ってもっと好きにやるもんなんだよ。何時間仕込んでもいいし、何時間の芝居やってもいい、好きにやりゃあいいんだよ。照明だって吊り変えてさ(あ、ウチのスタジオ、照明代取らないから。それも地味にすごいことなんだよ)。審査?普通の演劇公演にはそんなもんないよ。お客の反応と入り具合だけがいい芝居だったかどうかの基準なんだよ。って、そんなこと想像もつかないんだ。想像しようとも思わなくなっちゃうんだ。でも、実際にやってみるとわかる。演劇も一つの創造行為で、創造するってことは、もっともっと自由にやっていいんだってことがさ。だから、オレは今書いたような、大会とは違う場ーもっと自由に芝居が創れる「場」をNPOで提供しようと思ったんだ。

舞台監督の生徒が、大会以外で公演を打つ流れをK村にレクチャアーしてもらって、それを必死でメモして消化しようとする姿が印象的だった。水をグングン吸い込むスポンジみたいで、見ていて好感が持てた。高校演劇応援企画の第1弾、長久手高校の公演は6月1日(日)と決まった。NPOのHPでも宣伝し、観劇申し込みを受け付ける。会場費タダなんだから、思い切ってやれよ。やんなきゃわからないことって絶対あるからさ。

このブログ読んで、ウチの学校も会場費タダならやってみようかなって思った高校演劇の部活があれば、遠慮なく公式HPまで問い合わせしてほしい。

いやあ、オレ、これに関してはホント、いいことやってるって自分で思うもん。善を積んでるって思うもん。こんだけ善行積めば、オレにもきっといいことあるよなあ。