プレッシャー
久々芝居漬けの1週間だった。他の仕事を全部うっちゃって芝居を作り続けた。
オレ、サルだからね、やると決めたら、やっちゃうわけさ。
今回の刈谷東の芝居は、オレの脚本ではない。オレは演出をしただけだ。他の人の書いた台本を演出するのは、随分久しぶりで、その力が自分に残ってるのかと、おっかなびっくり始めてみたが、いやあ上手いのなんのって!やっぱ、オレ、演出うまいわ。
だが、疲れた。ものすごく疲れた。からだというよりも、主に心の疲れだ。
プレッシャーがすごかったんだ、今回の芝居作りは。
自分以外の人に台本書いてもらったでしょ?
舞台装置も、お願いして作ってもらったし。
できあがった装置が巨大なので、運送業者雇っちゃったし。
自分で書いた台本なら、イヤならどんどん変えれる。こりゃあダメだ、と判断したら、自分の書いた他の台本に速攻チェンジすればいい。
オレの芝居は装置なんかほとんどないから、誰かにお願いして作ってもらうことも普段は絶対ないし。
装置が無いんだから、運送業者雇うことなんてこれまで必要かなった。
けどね、演劇部の顧問でもない先生が、汗みずくになって装置を作ってくれてる姿を日々見てるわけじゃん?「ごめん、台本変えたからさ、装置要らなくなったわ」なんて、心ある人間なら言えるはずないよ。
人を巻き込まないと作れないのが芝居の良いところなんだけど、シンドいところでもあるんだよ。今回骨身に沁みてわかったね。
あ、それから、高校演劇の大会におつきあいすることに、ほとほと愛想が尽きてる自分を発見したのも、この1週間の大きな収穫だった。
共通仕込みで自由度ゼロ。よくわからん提出書類だけいっぱいある。仕込み15分(!)、撤去5分(!)、リハーサル15分(!)。スピーカーの向きを変えたいと言ったら、できませんとにべもなく断られる。サスの向きを変えてくれと言ったら、15分の仕込み時間の中で、4灯も首を振るのは難しいからできないと言われる。こんな具合で、やれないことばっかりで、うるせえんだ。
一宮スタジオ作って、自分の好きなように照明吊って、リハーサルも稽古も飽きるまでやれる環境を手に入れたからかな、高校演劇の大会の不自由さが、イヤでイヤでしょうがなくなっちまったみたいなんだ。昔はこの不自由さを不自由とも思わずに高校演劇の大会に出てたんだけど。
オレもいいトシだから、どれだけ節制して暮らそうが、あと20年も芝居作れないだろう。それなら、無理に周りの顔立てて、高校演劇を頑張んなくてもいいんじゃないかって気がしたね、今回は。
一般のお客相手にチケット売って、自分の作りたいもの、自分が良い芝居だと思うものを、自分の好きなように、魂込めて創れば良いんじゃないかって気になったよ。
高校演劇の世界じゃあ、もう十分勝ったからさ。定時制の高校で、全国大会に3度出場してるのは、歴代オレだけ、刈谷東高校だけなんだから。
もう、そろそろ思い切らないといかんかもな。
人間関係でも、仕事でも、馴染んだ係わり方を変えるのには踏ん切りが必要だ。この1週間の心労は、上手い具合にオレの背を押してくれてるのかもしれない。
とまれ、今回は、知力と才能の限りを尽くして作って、是が非でも勝ちにいくつもりだ。
まずは、地区大会。刈谷東高校の上演は7月21日(月)12:50~13:50。会場は知立市文化会館。お暇な方は、足を運んでいただけると嬉しい。