ヒール役

オレ、サングラスしてて人相悪いだろ?

改めて考えてみたんだ。ソンしてること、実はいっぱいあるんじゃないかなって。オレ自身、ちゃんと自覚あってね、今日、ケータイ変えに行ったんだけど、うすーい色しか付いてないサングラスに掛け替えてケータイ屋に行ったもん。自分で言うのもなんだけど、あ、オレ、ちゃんといい人っぽいなあ、って。

特にリベ国の授業で掛けてるあのサングラス(年配の人しか通じないかもしれないけど、西部警察で渡哲也が掛けてたみたいな、真っ黒なデカいサングラスね)、あれはとことん人相が悪いね。けど、オレはリベ国の授業はアレを掛けないと調子が出ないんだよ。なんだか違う授業になっちゃう気がして、いつもあのサングラス掛けてやってるんだ。自分の学校だけじゃない。はじめましてこんにちは、って学校で授業やるときも、いつもあのサングラス。リベ国はあのサングラスじゃないとダメって思い込んでる。なんでそんなふうに思っちゃうんだろ?この2週間くらいずっと考えてた。

で、ようやくわかったんだ。あ、オレ、リベ国の授業でヒール演(や)ってんだな、って。あのサングラスはヒール役の衣装として不可欠で、衣装を付けることで、気分もそれ用に整えることができるから、それでマストで掛けて授業に臨むんだな、ってね。

ヒールっていうのはプロレスの悪役のことだよ。有名なところでは、ちょっと古いけどブッチャーなんていう有名なヒールがいたな。良いヒールはさ、会場を一体化させるんだ。反則の限りを尽くし、窮地に追い込まれるヒーロー役(プロレス用語でベビーフェイスって言うんだ)を可哀想に思った観客が、何だよあのヒール役、ひでえことしやがる。面構えもやることも小憎らしいったらありゃしねえ。アイツだけは絶対に許せねえ、遠慮なしにブチ殺しちまえ!頑張れ、ベビーフェイス!!ってな感じになってね、会場が熱狂のるつぼと化すんだよ。そういうチカラ(その場にいる人をリングに釘付けにし、会場を一体化させ、熱狂を作り出すチカラね)を良いヒールは持ってるんだよ。

オレは多分、意識的にヒール役を演らなきゃならねえ、そうじゃないとリベ国は成立しないって思ってるんだろうね。それが証拠に、オレ、リベ国の授業中は、言葉遣いも結構ラフだもん。ラフな言葉で生徒を挑発したり、突き放したり、慰めたりってことをめまぐるしくしてる。それだって敢えてヒール役やって場を活性化させようとしてるんだよ、きっと。

え?なんでそんなわざわざ一体化させたり熱狂させる必要があるのかって?リベ国で扱っている内容が、シンドイからだよ。リベ国は自分の身構えを省みて、それを揺らして、変わってゆこう、って授業なんだ。誰だって、今の自分から変わるの、シンドいんじゃないの?勇気が要るんじゃないの?でも、そのシンドいことをやろうとして生徒たちは授業に身を晒してるわけさ。そんな彼ら彼女らの背中を押してやんなきゃ。で、オレは敢えて、ヒール役やってるんだろうね、きっと。

今度出すリベ国の本もね、表紙すごいよ。オレの写真が載ってるんだけど、ムチャクチャ人相の悪い写真が使われてる。その写真見てね、なんだよ、オレの担当編集者、センスあるじゃん、って初めて感心したよ。ちゃんとリベ国という授業の中でオレが担っている役割を表紙の写真一枚で表現したわけだからね。3月には一般書店で売り始める。表紙のオレにも乞うご期待だ。