歯医者さんの宿題
歯医者というものはおれは大の苦手だが、それでも今通っている歯医者は好きだ。オレが出た高校の、先輩がやっている歯医者で、岡崎にある。よくサボってしまうが、それでももう何年も通えているのは、歯医者嫌いのおれにしては奇跡に近い。
そこの歯医者の先生がおれは大好きなのだ。おじいさんだけど、腕はいい、と思う。いや、言い方が良くないな。面白がって治療してくれる。いろいろとおれにはよくわからない計算や計画があるにちがいないが、面白がって治療するって姿勢で接してくれるので、なんだかこっちもワクワクしてしまう。まじめぶって、深刻で、セオリーどおりで、無駄話ひとつしないで、ビジネスライクで・・・っていう感じの医者も多いように思うが(そういう無駄のない医者はおれは好みではない。そういう医者には2度と行かない。でもそういう医者が好き、って人もいるから、まあ好みの問題なんだろうけど)、おれが偏愛している歯医者はその真逆の態度で接してくれる。行くまでは億劫だが、行ってしまえば楽しい。いや、歯医者で楽しいは言い過ぎか。でも、治療を受けて、おしゃべりして、嬉しくなって帰るのは本当だ。
おしゃべり。そう、おれは、その歯医者の先生とおしゃべりをしに行くのだ。先回行った時には何故か宿題を出された。次回通院するときに答えを持ってくるようにと。歯医者にしたら何気ない冗談だったのかもしれないが、あながち思い付きの、その場限りの冗談ではないような気配があったし、おれは結構宿題が好きなので、まじめにやって答えを用意した。ちゃんと紙に書いて封筒に入れて・・・これで次の治療に安心して行けるってもんだ。
宿題のタイトルは「遊びとは何か、定義せよ」である。有名なところでは、ホイジンガの『ホモ・ルーデンス』やカイヨワの『遊びと人間』なんていう名著があって、昔から多くの人が遊びについて言及している。そんな有名どころはきっと博識のあの歯医者の先生はお読みのことだろう(ムチャクチャ読書家のようなのだ)。それを引いてくるだけでは芸がないので、もう少し(っていうか1週間たっぷり)考えて、おれなりの定義を考えた。さて、このブログをお読みのみなさん、みなさんなら「遊び」、どう定義しますか。