『帰郷』夢のような時間を過ごさせてもらった。

オレにとって大事な芝居『帰郷』の公演が終わって、1週間が過ぎた。ホントに過ぎたのか?オレはまだ終わったという実感が持てずにいる。

この1週間の間に何度も公演の夢を見た。明日の3公演、お客の数が○○だから、こんなふうに演出変えようと夢の中でメモしているとか、駅で一旦集まったお客さんを見失ってしまい、どうしようどうしようと探していたら、井口時次郎が改札から出てきてしまい、お客さんを見捨てて移動するわけにもいかず、井口に待てとブロックサインを出しているのに、井口は全然気づいてくれず、スタスタと歩いて行ってしまい、やばいやばいと思って飛び起きるとか。

終わって一週間経つというのに、オレは意識の中でいまだに公演をやっているみたいなのだ。

それくらい・・・それくらい楽しい、手応えのある公演だった。これまで、数えきれないほど公演を打ってきたが、こんな思いが残る公演は初めてだ。

観客の感想も素敵なものばかりだった。中日新聞にも結構大きい記事にしてもらった。中身の詰まったいい記事だった。記事をたまたま目にした高校の同級生が、わざわざ足を運んでくれた。素直に嬉しかった。2回見てくれたお客さんも幾人かいる。本当に有難かった。

演劇関係者ではなく、普段あんまり芝居を観ない人たちがたくさん見に来てくれて、笑ったり泣いたりしてくれたのも嬉しかったな。こういうことがやりたかったんだな。お客さんを見ながら、オレ自身、ちょっと泣きそうになってしまった。

オレは今回、役者に言い続けた。「オレらはな、F1をやってんだよ」と。「F1は300キロで走り続けるから、おんなじ所をぐるぐる回ってるだけなのに、あんなにお客が熱狂するんだよ。50キロや60キロで安全運転してたら、そんなもん普通に道走ってりゃ、いくらでも見れるんだから、高い金払ってわざわざ観に来てくれる客なんて、一人もいやしねえよ」と。

1日3公演、3日で9公演。役者もオレもよう走り切った。からだは1週間経った今でもガタガタだが、それでも観客からの声があれば、再演したいな、もう一回サーキットに立ちたいな、なんて思っている。

追記。制作のK村さんは今回、役者として出演した。オレの見る限り、K村さんは覚醒したな、役者として。F1を走る快感に目覚めちまったな。K村さん、またまた一皮むけちまったな。素晴らしいよ。