7月24日(水)

「装置の作り方」講師 甲村さん(CAワークス)。参加者1名。家や仕事の都合、学校の部活の大会で欠席者多し。

一宮スタジオの設備をゼロから作り上げた人の講座だ。何をやるんだろうと楽しみにして参加した。

すこし遅刻してスタジオに入ると、箱馬を作っていた。そうか。箱馬ね。劇場をまるっと1つ、手作りした人間が講座の題材に選んだのは、箱馬作りだった。なるほどね。よく見ると、一宮スタジオの客席も調光卓も舞台も、無数の箱馬が組み合わされて出来てるもんなあ。

一時間半、ノコギリで木の板を切ったり、トンカチで釘を打ったり(参加者は女性で、トンカチはあんまり使ったことがなかったらしい)するのを、じっと見ていた。

見飽きない。手を動かすのに従って、タダの板きれが箱馬に変わってゆく。汗をかいて、筋肉を動かした分だけ、着実に出来上がってゆく。

普段、虚業(学校で国語や演劇を教えるとか、演劇のワークショップをやるとか、芝居の台本を書いて演出をするとか)に携わっている分、モノそのものの手応え、手作業というものの圧倒的な実在感に、不覚にも心を打たれてしまった。箱馬作りを見て、これほど感動する人間もそうそういないだろうと自分にツッコミをいれたくなるほど、心を打たれた。

でもね、とボクは思う。手応えってすごく大事だ。特に芝居なんていう「虚空から花を掴みだす」作業に携わっている人間にとっては特に。演劇関係者、教育関係者は、是非、箱馬を作ってみるべきだ。

甲村さん、もう一回くらいやってよ、箱馬つくり。

次回は8月7日(水)。「制作、宣伝について」。講師は、今回に引き続き甲村さんです。

講座が終わってスタジオの外に出てみると、ほんまち商店街が、すさまじい量の七夕飾りでキラキラしていました。普段はあんなにシャッター街なのに。なんだか切なくなりました。

兵藤友彦